【宅建士の仕事に欠かせない業務】
宅地建物取引士(宅建士)の仕事はいったいどんな業務なのでしょうか。
宅建士は不動産取引のエキスパート、と言われているように、不動産契約の際の最も重要な部分を担う役割があります。
宅建士には欠かせない業務、「重要事項説明」
重要事項説明とは、土地・建物の売買や賃貸の契約をする前に、宅建士があらかじめ物件の状況や取引条件などを調査しておき、これをお客様にご説明する業務です。
宅地建物取引士の宅建士証(運転免許証のようなもの)をお客様に提示して、書面と口頭によって説明することが義務付けられています。
この重要事項説明(以後、重説)は、宅建士の資格を持った者しか行うことができません。
“資格を持たざる者”が重説を行った場合は宅建業法違反となり、その者と、その営業所を経営する不動産会社に罰則が課せられます。営業停止処分など重い罰則規定があるため、会社にとって大きな痛手になることもあるのです。
「名義貸し」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これは宅建資格を持っていない者が、資格を有する宅建士から宅建士証を借りて、さらには宅建士の名義を語って重説を行うことです。
過去にこの名義貸しが横行していて、重説に不備があるなどの重大な問題が発生したときに責任のなすりつけ合いが起こり、契約者に大きな損失を与えてしまうことがありました。
これでは安心して不動産取引ができなくなってしまうため、いまでは名義貸しなどの罰則も厳しくなっています。名義貸しを行った者は、免許はく奪などがあります。
不動産取引業にはさまざまな部門がある
不動産業はいくつかの分類にわかれており、売買業、賃貸業、管理業などがあります。
とくに売買業務は不動産業の中でもエースと言われる部門です。
一般的な流れとしては、新築や中古などの戸建・マンション(集合住宅)・土地の客付けからスタートします。
下記が不動産売買部門での営業マンの一般的な流れです。
①売り出し物件があれば、営業マンは自分で物件紹介のチラシを作成してポスティングをして回り、反響があったお客様に営業所または店舗までの来店を促す。
②来店していただいたお客様と面談をして、購入動機や希望のエリア、どんな住宅を探しているか、などをヒアリングする。
(その際に、住宅ローンの提案をするため、資産状況(職業や年収)なども訊く)③実際に物件を見ていただくために現地までご案内する。
④物件案内が終わったら店舗まで戻り、クロージング(契約締結までの落とし込み)を行う。
⑤購入意志が固まったら、購入申込書(不動産業界では“買付”という言い方をします)に記入をしてもらい、売主側の不動産業者へ連絡して申込書をFAX送信する(先に他人に買われてしまわないように物件を押さえておく)。
⑥お客様や売主、相手方の不動産業者と相談しあって契約を締結する日程を決める。
⑦契約日までに物件調査をする。
(※物件調査とは、法務局と市役所の建築指導課などで土地・建物の権利に関することを調べて、実際の物件の環境についても瑕疵がないかチェックをしておくことです)⑧契約書と重要事項説明書を作成する。
(物件調査した内容を書面に起こします)⑨契約をするまでに、お客様(この場合は買主)に重要事項を説明する。
(この業務は宅建士のみが行うことができます)⑩買主と売主、売主側の不動産業者に集まってもらい、正式に契約締結。このときに手付金(売買代金の一部)を買主が売主に支払う。不動産会社によっては仲介手数料の半分を買主から貰っておく場合もある。
⑪決済日を決める。
(※決済とは、買主が売主に売買代金の残額を支払い、売主は買主に物件を引渡すこと。住宅であればカギを渡す等)⑫一般的に決済は銀行で行うので、銀行の応接室や会議室などを借りるための予約を取っておく。物件引渡しの際に、売主から買主へ所有権を移すため、司法書士等にも同席してもらう必要がある。
⑬売買代金の支払いと、物件の所有権の移転登記が完了すれば業務終了。
以上が一連の流れです。
大手の不動産会社の場合は契約書と重説は営業事務員の方が作ってくれることもありますが、たいていは営業マンが全部自分で行います。
ひとつの売買を完結させるためには、これだけのステップを踏んでいかなければなりません。
とても大変そうに見えますが、慣れてくると自分で全てスケジュール管理できるので気楽にできる仕事でもあります。
ほとんどは個人プレーの業務ですので、契約が取れるようになると後は自分の好きなように仕事ができるのが良いところですね。
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