宅建試験対策! 権利関係
借地借家法で保護される「借家権」について詳しく解説していきます。
借地権の場合と同じように、宅建試験はもちろん、宅建士の実務でも必須の知識です。
【借地借家法による借家権の保護】
もくじ
1:存続期間と契約更新
民法では契約期間の最長を20年としていますが、借地借家法では、
①20年を超える契約も可能
②1年未満の契約期間を定めると「期間の定めのない賃貸借契約(当事者の解約の申し入れがあるまで賃貸借が続く契約)」となる。
ただし、定期建物賃貸借契約は除く。
と規定されています。
期間の定めがある場合は、「期間満了の1年前から6ヶ月前までの間」に更新しない旨の通知をしなければ、契約は更新されます。(期間の定めのない建物賃貸借契約とみなされます。)
2:造作買取請求権
これは借地権の分野で出てくる、「建物買取請求権」の「借家バージョン」だと覚えてください。
借家契約の場合には、「造作買取請求権」があります。
造作とは、畳や建具のことをいいます。
賃貸人の許可を得て建物に付加した造作は、賃貸契約終了時に賃貸人(貸主)に時価で買い取ってもらえる権利があります。
ただし、あくまでも「賃貸人の許可を得て」付加した造作でなければ、この権利は認められませんので注意しましょう。
また、造作買取請求権は特約で排除することもできます。
3:建物の賃借権の対抗力
①建物の賃借権を登記した場合
②建物の「引渡し」があった場合
4:居住用建物の賃貸借の承継
例えば、建物の賃借人が死亡したとしましょう。
借家権も一種の財産なので相続の対象となり、賃借人に妻がいれば、借家権は妻に相続され、そこに住み続けることができます。
しかし、相続人がいなかった場合はどうでしょうか。
もし内縁の妻がいたとしても、内縁の妻に相続権はありません。
そこで居住用物件に限り、事実上の夫婦関係や養親子関係にあった者は、「借家権を引き継ぐことができる」とされています。
ただし、その同居人が「賃借人の死亡を知ってから1ヶ月以内」に、もうここには住まない」という意思表示をした場合は権利義務は継承されません。
5:家賃の増減額請求
地代と同様の規定が家賃にもあり、当事者は増減額請求することができます。
また、一定期間家賃を「減額しない」という特約は認められません。
【定期建物賃貸借】
定期借地権の「借家バージョン」が「定期建物賃貸借」です。
契約の更新がないので、期間が満了すれば建物が返還される契約ですが、いくつか条件があります。
1:公正証書等の「書面」で契約する必要がある。
2:契約期間が1年以上の場合、賃貸人は「契約書とは別に書面を交付」して、「更新はなく、期間満了により終了すること」を説明しなければならない。
[期間]
定期建物賃貸借の契約期間は「1年未満でも可能」です。
契約期間が1年以上の場合、賃貸人は期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、「賃貸借契約が終了する旨の通知」をしなければなりません。
[中途解約の可否]
床面積200㎡未満の住居用建物で、やむを得ない事情により使用が困難になったときは「特約がなくても」賃借人から解除の申し入れをすることができます。
このとき、申し入れから1ヶ月経過すると契約は終了します。
■借地借家法第26条 借家
1、建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前(6ヶ月)までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。2、前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく意義を述べなかったときも、同項と同様とする。
3、建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
【宅建試験での出題例】
問:A(借主)がB(貸主)との間の信頼関係を破壊し、本件契約の継続を著しく困難にした場合であっても、Bが本件契約を解除するためには民法代541条所定の催告が必要である。
答えは×です。
いかなる場合でも借主が守られるわけではありません。
契約の継続を著しく困難にしたのはA(借主)ですから、この場合、B(貸主)は催告なしに解除することができます。
借地権・借家権それぞれには共通点が多く、大きく異なるのは「裁判所の許可制」があるかないかです。
また、契約存続期間の定めについても借地権では30年ですが、借家権では20年(ただし借地借家法においては20年を超える契約も可能)となることもしっかり覚えておきましょう。
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