宅建試験対策! 権利関係
【弁済】
弁済とは、簡単にご説明すると「借りたお金を全額返済し終えること」で、債権消滅事由の1つです。
債務者が約束の債務を果たし、債権者の債権が目的を達成し消滅することを言います。
例えば自動車の修理を業者にお願いした場合。
修理が完了したときに、依頼者は修理代金を支払う義務(債務)を果たす必要があり、業者は修理が完了した自動車を返す義務(債務)を果たさなければなりません。それにより債権が消滅します。
• 依頼者⇒修理代を支払う義務(債務)と、自動車を返してもらう権利(債権)
• 修理業者⇒自動車の修理をして返す義務(債務)と、修理代金をもらう権利(債権)
この場合は、双方が債務者であり、債権者でもあります。
【弁済の要件】
弁済すべき者(債務者)が、弁済を受ける者(債権者)に対して、契約または法律で定められた債務を、定められた場所(契約時に特約がなければ債権が発生した場所)で、定められた時期(当事者の特約や法律によって定められた期間)に、定められた方法で(月々8万円のローン等)なされることとされています。
万が一、債務者が債権者ではない者に弁済した場合には「無効」とされ、債権は消滅しません。(本来の債権者とは別の人に借金を返済してしまった場合など)
ただし実印や権利書を持っていて、あたかも債権者だと勘違いさせるような者(債権の準占有者といいます)に対して善意無過失で弁済をした場合には「有効」となり、債務は消滅します。
また、領収書等の受取証書を持参した者に対して善意無過失で弁済した場合も有効となります。
【第三者弁済】
“弁済すべき者”というのは当然債務者のことですが、その他に「債務者の代理人」も弁済する事が出来ます。
また、債務者本人や債務者の代理人以外の「第三者」も弁済ができます。
ただし、
1:当事者が反対の意思表示をした場合
2:法律上の利害関係のない第三者の弁済が「債務者の意思に反する場合
上記2点のいずれかに当てはまる場合には第三者弁済が出来ません。
反対に、保証人、連帯保証人、法律上の利害関係がある第三者(例えば物上保証人、担保不動産の第三所得者など)は、債務者の意思に反しても第三者弁済する事ができます。
【法定代位(弁済による代位)】
AさんがBさんから借りていた2000万円を、Cさんが第三者弁済しました。
Cさんが第三者弁済したことで、AさんのBさんに対する債務は消滅します。
• Aさん⇒Bさんから2000万円を借りていた
• Cさん⇒Aさんの代わりに、2000万円をBさんに返済した
• それにより、AさんのBさんに対する借金返済義務は消滅する
そして、CさんはAさんに対し、「あなたの代わりに2000万円立て替えてあげたから、私に2000万円返してね」と請求する「求償権」を有します。
つまり、2000万円の債権がBさんからCさんに移転し、Aさんから見れば、CさんがBさんに代位した(入れ替わった)ことになります。
これを「法定代位(代位による弁済)」といいます。
■民法第474条 弁済(第三者の弁済)
1、債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りではない。
2、利害関係を夕市内第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。
【宅建試験での出題例】
問:債務者Aの兄Cは、Aが反対しても、債権者であるBの承諾があれば、Bに弁済する事が出来る。
答えは×です。
Cは債務者であるAの兄であっても、「利害関係を有さない第三者」ですので、債務者の意思に反して弁済する事はできません。
試験での出題率は中といったところでしょうか。重要な分野の勉強を優先し、余裕ができたら「弁済」について掘り下げて勉強しておくといいでしょう。
抵当権等の複雑な分野を捨てて、より得点できそうな分野の勉強を強化するのも一つの手ですが、出題率がそれほど高くない問題のために重要事項を捨てるのはあまりオススメできません。
弁済に関しては、「第三者弁済が出来ない」のはどんな条件に当てはまる場合か、また「当事者(債務者)の意思に反して弁済が出来る者(保証人、連帯保証人、法律上利害関係がある第三者)をしっかり理解できていれば大丈夫でしょう。
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