宅建試験対策! 宅建業法
【媒介・代理契約とは】
「媒介」や「代理」契約とは、宅建業者が売主や買主から依頼を受けて、その目的物の売買、交換、賃借の間を取り持つ、いわば手助けをすることを指します。
では、媒介と代理契約とでは何が違うのかを見ていきましょう。
・媒介
例:宅建業者が土地を売りたいというAから依頼を受け、Aに代わってその土地を買いたい人を探します。
媒介の場合、「売主の依頼を受けた宅建業者が買主を探し、売主と買主を引き合わせて契約のチャンスを作る」までが宅建業者の仕事です。
契約自体は当人同士で行うため、宅建業者が直接契約に関わることはありません。
・代理
例:宅建業者が土地を売りたいというAから依頼を受け、Aに代わってその土地を買いたい人を探します。
ここまでは媒介と同じですね。
そして買い手が見つかったら、宅建業者は「依頼主に代わって」契約までを行います。
【一般媒介と専任媒介】
土地を早く売りたいAさんがいたとします。
早く売りたいから、1ヶ所だけではなく複数の不動産会社に媒介契約を依頼したほうが買い手が見つかりやすくなる、とAさんは考えました。
このように、他の業者にも依頼しても良い媒介契約を「一般媒介契約」といいます。
逆に、一社にしぼって媒介契約を結び、他の不動産会社との媒介契約を禁止する「専任媒介契約」があり、どちらにするかは依頼主が自由に選ぶことができます。
専任媒介契約の有効期間は「3ヶ月以内」に限定され、それより長い契約をしても3ヶ月に短縮されますので注意しましょう。
ただし、有効期限が切れた場合でも依頼主から更新の申出があれば、また3ヶ月の定めをもって契約の更新が可能です。自動更新はされませんので注意してください。
また、専任媒介契約を結んだ宅建業者は、「2週間に1回以上」、依頼主に業務処理状況の報告をしなければなりません。
・指定流通機構(レインズ)への登録
指定流通機構とは、宅建業者間の物件情報交換ネットワークを指します。
宅地建物取引業法に基づき国土交通大臣が指定した不動産流通機構で、通称「レインズ」と呼ばれています。
ここに登録すると他の宅建業者もその情報を見ることができるので、買い手がより見つかりやすくなります。
そのため、通常の専任媒介契約では「7日以内に指定流通機構に登録すること」が義務付けられており、登録を証明する書面が交付されます。
これを宅建業者は依頼主に「遅滞なく」引き渡さなければなりません。
【専属専任媒介とは】
土地を売りたいAさんが、B不動産と専任媒介契約を結んだとします。
もし、専任媒介契約後にAさんが「自ら」買い手を見つけた場合、B不動産との契約はどうなるのでしょうか。
Aさんからすれば、他の宅建業者に依頼したわけではないので、「違反」ではない、と考えられます。
一方、B不動産からすると、Aさんのために広告費もたくさん使ったのに、「やっぱり自分で見つけたから、いいや」と言われても納得できませんよね。
そこで、「専属専任媒介契約」という契約形態が設けられました。
依頼者が自ら買い手を見つけること(自己発見取引といいます)を禁止する特約の付いた専任媒介契約を指します。
専属専任媒介契約の期間も通常の専任媒介契約と同様に「3ヶ月以内」です。
専属専任媒介契約をした宅建業者は、「1週間に1回以上」、依頼主に業務処理状況の報告をしなければなりません。
また、専属専任媒介契約では「5日以内に指定流通機構に登録すること」が義務付けられており、登録を証明する書面が交付されたら「遅滞なく」依頼主に引き渡さなければなりません。
|
レインズへの登録 |
業務報告 |
媒介契約有効期間 |
専任媒介契約 |
7日以内 |
2週間に1回以上 |
3ヵ月以内 |
専属専任媒介契約 |
5日以内 |
1週間に1回以上 |
3ヵ月以内 |
【媒介契約書(34条書面)の記載事項】
①宅地・建物を特定するために必要な表示(目的物の所在地等)
②売買すべき価格・または評価額(根拠を明確にすること。口頭でも可)
③媒介契約の種類(専任or一般)
④有効期間、解除に関する事項
⑤指定流通機構への登録
⑥違反に対する措置
⑦報酬額および受領の時期
⑧国土交通大臣が定めた標準媒介契約約款(国土交通省が定めた媒介契約書の見本)に基づくか否か
上記は「代理契約」にもあてはまりますが、あくまでも「売買(または交換)」の媒介・代理のお話であり、賃借の代理・媒介には適用されません。
また、媒介契約書の作成義務は「宅建業者」にありますので、宅建士である必要はなく、媒介契約書への記名・押印も宅建業者が行います。
【宅建試験での出題例】
問:Aが、34条の2書面に記載した宅地を売買すべき価額について意見を述べる場合は、その根拠を書面により明らかにしなければならない。
答えは×です。
根拠を明らかにする、までは正解ですが、「書面で」明らかにする必要はありません。口頭でも可能です。
上記以外にも「期間」(3ヶ月以内・7日以内・5日以内・遅滞なく等)に関するひっかけ問題も予想されます。
難しく考える必要はありませんので、この期間だけは暗記しておくことをオススメします。
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