宅建試験で、代理については必ずと言っていいほど出題されます。
それほど難しくないので、ここでは絶対に点数を落とさないようにしっかりと知識の定着をしていってくださいね。
【委任】
ここからは委任についてです。
委任による代理(任意代理)とは、そもそもどんな意味なのでしょうか。
もくじ
【代理は二種類存在する】
・法廷代理
まず一つ目は「法定代理」と言って、法律の規定により特定の立場の者に代理人の地位を与える、というもの。
未成年者の親権者や、成年後見人などがこれにあたります。
・任意代理
二つ目が「委任による代理(任意代理)」と言い、契約によって代理権を与えるものを指します。
委任による代理においては、「制限行為能力者でも代理人になれる」ことをしっかり覚えておきましょう。
例えば現在中学生で未成年であるAさんでも、父Bさんの代理人になることができます。
けれど、いくらなんでもAさんはまだ中学生(制限行為能力者)です。もし間違った判断をしてしまった場合はどうなるのでしょうか。
この場合、Aさんが行った代理行為を制限能力者であることを理由に取り消すことは出来ません。
なぜなら、効果は父Bさんに帰属するので、Aさんは困らないわけです。
そして、Aさんが未成年だとわかった上で代理人に選んだのは父Bさんですから、万が一の事態も受け入れざるを得ません。
【自己契約、双方代理の禁止】
例えばAさんが、Bさんから売却を依頼された土地を、自分で買ってしまおうと思ったとします。
けれど、代理人であるAさんが買主になることはできません。
代理人が自己のために契約をすることは禁止されているからです。
これが「自己契約の禁止」です。
また、Aさんが売主であるBさんと、買主C不動産の両方の代理人となることも禁止されています。
代理人のさじ加減次第で、売主または買主にとって不利益となることがあってはなりません。
これが「双方代理の禁止」です。
【代理人が騙されたら、取り消しはできるのか】
実際に行為するのは代理人なので、詐欺、脅迫、錯誤、心裡留保、虚偽表示があったか、善意だったか悪意だったか、については代理人を基準に判断します。
もし代理人Aさんが騙されて契約をしてしまった場合、代理を依頼したBさんが直接騙されたわけではありませんが、Bさんは詐欺を理由に取り消す事ができます。
契約の効果はBさん自身に帰属するからです。
【代理権の消滅】
1:本人が死亡した場合、代理は本人を保護する制度ですから当然その権利は消滅します。
2:代理人が死亡した場合や、成年被後見人になった、破産してしまった、といった場合も、本人が安心して代理を任せられませんので代理権が消滅します。
3:委任による代理は、本人と代理人の信頼関係に基づくものですので、解除によって消滅します。
■民法第643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。■民法第644条 受任者の注意義務
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。■民法第645条 受任者による報告
受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
【実際の宅建試験での出題例】
問1:代理人が後見開始の裁判を受けた時、代理権は消滅する。
答えは○です。
問2:任意代理の場合、未成年者であるAは、Bの代理人になることは出来ない。
答えは×です。
未成年者でも代理人になることは可能です。
任意代理では、制限能力者でも代理人になれることと、双方代理の禁止についてはしっかりと頭にいれておきましょう。
大きなポイントはこの2つだけです。
制限能力者という言葉が出ると少しややこしく考えがてしまいがちですが、落ち着いて問題を読み取る事ができれば確実に得点できるでしょう。
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