宅建試験対策! 権利関係
【遺言とは】
法定相続分に制限されず、被相続人が誰にいくら相続させるかを指定する事を遺言といいます。
(※一般的には遺言は「ゆいごん」といいますが、法律用語としては「いごん」といいます)
また、まだ生まれていなくても「胎児」に対する遺言も有効です。
相続と遺言は必ず1セットで頭に入れておきましょう。
もくじ
【制限行為能力者と遺言】
1:未成年者
15歳になると遺言できるようになります。
2:成年被後見人
判断能力を回復した時、医師2名以上の立会いがあれば遺言できます。
3:被保佐人・被補助人
単独で遺言できます。
なお、遺言はいつでも撤回が可能です。
過去に何度か遺言を残している場合は、直近の遺言が適用され、それ以前の遺言は撤回されたものとみなされます。
これは制限行為能力者に限らず、能力者の遺言であっても共通です。
【遺留分(いりゅうぶん)】
もし、妻も子供もいるAさんが、遺言で「遺産は全て愛人のBに譲る」とした場合、被相続人であるAの遺志も考慮する必要がありますが、残された遺族の生活も守らなくてはなりません。
そのため、一定の法定相続人を保護するために「遺留分」として、遺言通りに分配しないで相続人のために残しておくことが認められています。
1:配偶者や直系卑属(子や孫)が相続人の場合は1/2
2:兄弟姉妹のみが相続人の場合、遺留分は認められません。
3:直系尊属(親)のみが相続人の場合は1/3
この3つはよく宅建試験に出題されますので、しっかり覚えておきましょう。
上の例の場合、遺言があったとしても、法定相続人であるAさんの妻は遺産総額の1/2を取り戻すことができる権利を有します。
これを「遺留分減殺請求権」といいます。
例のように「愛人に全て相続させる」といった普通では考えられないような遺言であっても無効ではありませんので、注意してください。
また、相続放棄は相続の開始前にすることはできませんが、遺留分の放棄は家庭裁判所の許可を受ければ相続開始前に放棄する事ができます。
■民法960条 遺言
遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
■民法967条 遺言の方式
遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りではない。
【宅建試験での出題例】
問:Bの遺留分を侵害する被相続人Aの遺言は、その限度で当然に無効である。
答えは×です。
どんなに理不尽な遺言であっても、遺言自体が当然に無効になるわけではありません。
遺言が有効であることを前提として遺留分を侵害された相続人が、「遺留分減殺請求」をすることができるだけです。
相続と合わせて出題されることが予想されますので、遺言・遺留分に関しての過去問を繰り返し解いて、知識の定着をしておきましょう。
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