【共有】
共有とは、自分以外の何人かの人と、ひとつの物を共同で所有することを言います。
A、B、Cさんがそれぞれ1000万ずつ出し合ってひとつの建物を購入したら3人の物になる、ということです。
そして3人はそれぞれ同じ金額を出したのですから、同じ割合でこの建物を所有します。
このような所有権の割合を「持分」といいます。
■民法第249条 共有
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
【共有物の使用とは】
A、B、Cさん(各共有者)は、各自の持分に応じて共有物を使用できます。
この使用は、3種類に分けられます。
1:保存行為
共有物を修繕したり、所有権がないのに勝手に建物を使う不法占拠者への返還請求といった「共有物の現状を維持する行為」を保存行為と言います。
保存行為は各共有者がそれぞれ「単独」で行う事ができます。
2:管理行為
共有物の賃貸借や賃貸借契約の解除といった「共有物を利用、改善する行為」を管理行為と言います。
管理行為は、「各共有者の持分価格の過半数の賛成」で行います。
3:変更行為
共有物の売却や建て替え、田んぼを駐車場にする、増改築するといった「共有物を物理的に変化させる行為」を変更行為と言います。
変更行為には「各共有者全員の同意」が必要です。
ちなみに、自分の持分のみであれば自由に賃貸借、売却等が可能です。
共有物全体に関することは上記の条件が必要ですが、共有者個人の持分についての行為は単独で行うことができますので注意しましょう。
【共有物不分割特約】
自分以外の数人とひとつの物を共有するためには、しっかりと決め事を定めておかないと必ずと言っていいほどトラブルに発展します。
これを防ぐための一つとして、民法では、「共有者はいつでも自由に共有物の分割を請求できる」としています。
けれど、たとえAさんが分割してほしい場合でも、Bさんがそれを反対する事も有り得ますね。
ここで言い分が食い違ってしまうと、AさんとBさんの紛争に発展しかねません。
そこで、あらかじめ「共有者同士で共有物を分割しない」という特約をつける事ができます。
これを「共有物不分割特約」といいます。
この特約の期間は5年を超えることは出来ませんが、更新は可能です。ただし更新のときから5年を超えてはいけません。
また分割について、どうしても各共有者の意見が食い違って前に進まない場合には「裁判所に分割を請求する」事ができます。
■民法第256条 共有物の分割請求
1、各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2、前項ただし書きの契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない
【宅建試験問題の例題】
問:管理費はA、B、Cがその利用の程度に応じて負担しなければならない。
答えは×です。
利用の程度に応じて、ではなく持分に応じて負担します。
出題されやすいポイント
各共有者は共有物全体について各自の持分に応じた使用をする事が出来る、各共有者の持分は、特約が無い限り等しいと推定される、の2点です。
また、「使用」の種類と共有物不分割特約についても、しっかりと理解しておきましょう。
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