宅建試験対策! 宅建業法
宅建業者や宅地建物取引士が宅建業法の規定に違反した場合は、ペナルティーが課せられます。
国土交通大臣・都道府県知事から受けるペナルティーを監督処分といいます。
ここでは、その監督処分や罰則について解説していきます。
「宅建業者に対する監督処分」については、ほぼ毎年宅建試験で出題されているので、しっかりと内容を理解しておきましょう。
もくじ
【宅建業者に対する監督処分】
①指示処分
②業務停止処分
※上記2つは免許権者だけでなく行為地の知事にも処分権限があります。
③免許取消処分
※免許取消処分を行えるのは免許権者のみです。
上記3つの処分を行うには、事前に公開による「聴聞」を行う必要があります。なぜ違反行為をしたのか、業者の話を聞いた上で処分をすることになります。
【処分後の措置】
違反行為地の知事が処分を行った場合は、その旨を遅滞なく「免許権者に通知」します。
※例:東京都知事免許を受けたA社が千葉県で違反行為をし、千葉県知事が処分を行った場合、千葉県知事は遅滞なく東京都知事にその旨を通知しなければなりません。
国土交通大臣は、免許権者としてのみ監督処分することができ、大臣が処分した場合は、その旨を遅滞なく「宅建業者の事務所の所在地を管轄する知事に通知」します。
指示処分、業務停止処分があったら、免許権者は業者名簿に処分日及び違反の内容を記載し、知事や国土交通大臣(地方整備局長)は、その旨を「広告」しなければなりません。
【処分事由】
①指示処分
・免許権者、業務地を管轄する知事が指示処分を行うことができる事由
1:業務に関し、取引関係者に損害を与えた、または与える可能性が高い
2:業務に関し、取引の公正を害する行為をした、または害する可能性が高い
3:業務に関し、「他の法令に違反」し、宅建業者として不当であると認められる場合
4:宅地建物取引士(宅建士)が監督処分を受けた場合で、宅建業者にも責任がある
5:宅建業法の規定に違反した
6:住宅瑕疵担保履行法の一定の規定に違反した
(一定の規定とは、
・住宅販売瑕疵担保保証金の供託
・供託・保険の状況の届出
・新たな新築住宅の売買契約締結の制限
・供託所等の書面による説明
・保証金の不足額の供託・供託した旨の届出
・保管替えまたは新たな供託
のことをいいます)
②業務停止処分
・免許権者、業務地を管轄する知事が業務停止処分を行うことが出来る事由
※特に重要なものを以下にまとめます。
1:業務に関し、他の法令に違反し、宅建業者にふさわしくないと認められる
2:宅地建物取引士が監督処分を受けた場合で、宅建業者にも責任がある
3:指示処分に違反した
4:誇大広告をした
5:取引態様を明示しなかった
6:媒介契約書の不交付、記載漏れ
7:重要事項説明書の不交付、説明義務違反
8:守秘義務違反
9:報酬額の制限違反
10:従業者に従業者証明証を携帯させなかった
11:従業者名簿の備付義務違反
・免許権者のみが業務停止処分を行うことができる事由
※特に重要なのは以下3項目です。
1:専任の取引士の設置義務違反
2:営業保証金の規定に違反(届出前に開業していた場合や、2週間以内に不足額を供託しない場合)
3:保証協会の規定に違反
③免許取消処分
免許取り消し処分には、必ず免許を取り消さなければならない「必要的免許取消」と、免許を取り消すことが出来る「任意的免許取消」があります。
・必要的免許取消事由
1:欠格事由に該当する(業務停止処分に該当し、情状が特に重い・業務停止処分に違反する等)
2:免許換えをすべきなのにしていない
3:免許を受けてから「1年以上営業を開始しない」、または引き続き1年以上営業を休業した
4:廃業の事実が判明した
・任意的免許取消事由
1:免許を与える際に付した条件に違反した
2:宅建業者の所在地が不明になった(公告から30日を経過しても申し出がない)
3:営業保証金を供託した旨の届出がない
宅建業者に対する監督処分と処分権者
|
処分権者 |
指示処分 |
免許権者または業務地の都道府県知事 |
業務停止処分(1年以内) |
免許権者または業務地の都道府県知事 |
免許取消処分 |
免許権者のみ |
【取引士に対する監督処分】
①指示処分
②事務禁止処分
※上記2つは登録している知事だけでなく、行為地の知事にも処分権限があります。
③登録削除処分
※登録削除処分は登録している知事のみ行うことが出来ます。
宅建業者の場合と同様、処分するためには公開による聴聞を行う必要があり、国土交通大臣は取引士に対し、報告を求める事はできますが、監督処分する事はできません。
【処分事由】
・指示処分、事務禁止処分
①自己が専任の取引士として従事している事務所以外の事務所の専任取引士である旨の表示をした
②他人に名義を貸した
③取引士として行う事務に関し、不正または著しく不当な行為をした
上記に該当し、指示処分を受けたにも関わらず従わないときは、1年以内の期間を定めて「事務禁止処分」にすることができます。
処分は、登録を行った都道府県知事または処分該当事由が行われた都道府県の知事ができます。
なお、事務禁止処分を受けると、「取引士のみ行うことが出来る3つの事務」ができないだけで、宅建業者に従事する事は可能です。
・登録削除処分
①指示処分、事務禁止処分の事由に該当し、情状が特に重い
②登録の欠格事由に該当した
【取引士証の提出と返納】
事務禁止処分を受けた取引士は、取引士証の交付を受けた知事に取引士証を提出しなければなりません。
登録削除処分を受けた場合は、取引士証を返納しなければなりません。
この提出・返納の義務に違反すると10万円以下の過科に処せられる場合もあります。
【宅建業者への罰則】
重大な宅建業法違反については、監督処分だけでなく罰則(懲役・罰金・過料等)が課される場合もあります。
例:業務停止処分に違反して営業した宅建業者=3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科を受けることがあります。
【両罰規定】
宅建業者の代表者、従業員、代理人等が重大な宅建業法違反行為を行った場合、行為を行った者が刑罰を受けると共に、業者に対しても罰金刑が課せられます。これを「両罰規定」といい、法人の場合、最高額は「1億円」です。
【取引士への罰則】
①大臣や知事から報告を求められた取引士が報告をしない、または虚偽の報告をした=50万円以下の罰金
②取引士証の返納義務に違反した=10万円以下の過料
③取引士証の提出義務に違反した=10万円以下の過料
④重要事項説明の際、取引士証を提示しなかった=10万円以下の過料
【宅建試験での出題例】
問:宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、乙県の区域内の事業に関し、乙県知事から指示を受け、その指示に従わなかった場合でも、甲県知事はAに対し業務停止の処分をすることができない。
答えは×です。
業務停止の処分権限はどちらの県知事も持っています。
【勉強時間を短縮できる宅建スキマ講座】
「宅建資格は欲しいけど、仕事が忙しくてなかなか勉強時間がとれない……」
なんて思っていませんか?
テキストを読み込んだり過去問を3周以上まわしたり……
そんなことやってられない!
忙しい社会人なら誰もがそう思っていますよね。
そんなあなたにちょうどいい勉強法があるとしたらどうでしょうか?
「え……そんな都合のいいものなんてあるの?」
実は、あるんです。
スキマ時間を利用して、スマホ・タブレットなどでしっかり学習!
本試験で得点するのに役立つ重要知識に絞った無駄のないビデオ&音声講義でスキマ時間に素早く、全出題範囲を学ぶことができます。
宅建試験の内容は浅く広くのスタンスなので、出題範囲が広い傾向にあります。
けれど、宅建業法や権利関係などは例年、基本的な分野が多く出題されるため、しっかりと要点をしぼっておけば得点しやすい試験でもあります。
とくに出題数が一番多い宅建業法などは、暗記問題のようなものが多く出てきます。
音声学習で耳からも勉強しておくとより記憶が定着しやすくなるでしょう。
そうすることで、時間の短縮にもつながりますよね。
最近のコメント