宅建試験対策! 法令上の制限
ここでは国土利用計画法について要点をまとめて解説しています。
宅建試験でも毎年1問は出題されている分野ですので、確実に1点は確保しておきたいところですね。
【国土利用計画法(国土法)とは】
国土利用計画法とは地価高騰の抑制と国土の合理的利用を目的とする法律で、一定の土地取引について届出をさせて不合理な土地取引でないかを確認しています。
日本の国土は国民にとって限られた資源ですから、計画的に利用しなければなりません。
また地価の高騰によって国民が手の届かない土地にならないよう、地価の上昇を招くおそれのある取引には、さまざまな規制を課しています。
国土利用計画法は3つの制度が設けられており、①事後届出制、②注視区域内における届出制、③監視区域内における届出制があります。
地価の高騰が懸念される地域は注視区域や監視区域に指定し、契約前に知事に届け出る「事前届出」を義務づけ、もし不合理なものであれば知事が変更を勧告します。
注視区域、監視区域は地価上昇のおそれがあるので、土地の利用目的とともに予定対価を審査します。事前届出ですので、取引の両当事者(売主・買主)に届出義務が発生します。
指定のない区域(無指定区域)は地価上昇の可能性が低いので、「土地の利用目的のみ」を審査します。届け出義務を負うのは権利取得者(買主等)です。
もくじ
【事後届出制】
事後届出制とは、無指定区域において、一定の土地取引をした場合、権利取得者は契約後2週間以内に市町村経由で、都道府県知事に「当事者名、対価の額、土地の利用目的」を届け出なければならない制度です。
なお、2週間以内に届け出なかった場合には6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則がありますが、取引そのものは有効であることに注意しましょう。
【都道府県知事の勧告】
都道府県知事が取引に問題があると判断した場合に「利用目的の変更を勧告」することができます。
勧告は、届出があった日から3週間以内にしなければなりません。
※あくまでも勧告であり、命令では無いので、勧告に従わない場合でも罰則はなく、契約も有効となりますが、知事は氏名、勧告内容とともに勧告に従わなかった旨を公表することが出来ます。
【事後届出の対象面積】
• 市街化区域→2000㎡以上
• 市街化調整区域・非線引き区域→5000㎡以上
• 都市計画区域外→10000㎡(1㏊)以上
上記3点は暗記しておくと安心です。
それ以下の小規模な取引であれば届出は不要です。
【事後届出が必要な土地取引】
1:土地に関する権利(所有権、地上権、賃借権)の移転または設定
2:対価を得て行われる=対価性がある(無償なら届出不要)
3:契約(予約も含む)により行われる
上記3点全てを満たす場合は届出が必要です。
・届出が必要な具体例
売買
交換
譲渡担保
代物弁済の予約
地上権・賃借権の設定(権利金等の授受があるもの)
形成権の譲渡
共有持分の売却
・届出が不要の具体例
「土地に関する権利」にあたらない
抵当権設定
不動産質権設定
「対価を得て」にあたらない
相続
贈与
遺産分割
時効取得
法人の合併
権利金等の授受がない地上権、賃借権の設定
「移転・設定する契約」にあたらない
形成権
(予約完結権の行使
買戻権
解除権
取消権
所有権移転請求権)
条件付き売買で条件が成立したとき
【届出が不要となる場合】
対価の発生する取引でも、国土法の届出が不要となる場合があります。
1:当事者の一方または双方が国または地方公共団体、土地開発公社、地方住宅供給公社等の場合
2:民事調停法による調停の場合
3:農地法3条1項(権利移動)の許可を要する場合
4:滞納処分、強制執行、担保権の実行として競売にかけた場合等
【宅建試験での出題例】
問:宅建業者Aが所有する市街化区域内の1500㎡の土地について、宅建業者Bが購入する契約を締結した場合、Bは、その契約を結んだ日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。
答えは×です。
市街化区域内では2000㎡以上の土地を取引した場合に届出が必要となります。
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