宅建試験対策! 権利関係
【根抵当権とは】
自営業を営むAさんが、自らが所有する土地を担保とし、B銀行から極度額(上限額)3000万円のお金を借りました。
債権の種類を商売の仕入れに関するものとし、これに根抵当権を設定すると、Aさんは極度額3000万円以内の範囲であれば、商売の仕入れに関するお金の貸し借りを繰り返し行う事ができます。
このように、不動産を担保として極度額を設定し、債権の種類を決め、その範囲内でお金の貸し借りが繰り返しできるようになる権利を「根抵当権」といいます。
もくじ
【元本確定】
根抵当権によって担保される債権を定めることを「元本確定」といいます。
元本の確定は、元本確定期日の到来、または当事者の確定請求等によって行います。
当事者の確定請求は、根抵当権設定者が根抵当権設定時から3年以上であれば元本の確定請求をする事ができます。
【根抵当権の変更】
1:限度額の変更
元本確定の前後を問わずにいつでも行う事ができます。
ただし、利害関係人の承諾が必要となります。
2:被担保債権の範囲の変更
元本確定前である場合のみ行う事ができます。
利害関係人の承諾は不要です。
3:債務者の変更
元本確定前である場合のみ行う事ができます。
利害関係人の承諾は不要です。
4:元本確定期日の変更
元本確定前である場合のみ行う事ができます。
利害関係人の承諾は不要です。
【根抵当権の特徴】
1:付従性が無い
元本確定前は、借りたお金を全額返済したからといって根抵当権は消滅しません。
決められた債権の種類かつ限度額の範囲内であれば何度でも借りる事ができるためです。
根抵当権を消滅させるには、「根抵当権の抹消登記」が必要です。
2:被担保債権の範囲
根抵当権は、「一定の範囲」に属する不特定の債権を限度額の範囲内において担保するものですので、「包括根抵当権の禁止」といってなんでも担保に出来るわけではありません。
商品供給取引や銀行取引による債権、といったように担保にできる債権が限定されています。
3:随伴性が無い
元本確定前であれば、被担保債権が譲渡されても根抵当権は移転しません。
4:効力の範囲
根抵当権は、限度額の範囲内であれば、確定した元本をはじめ、利息、遅延損害金等、すべてに効力を生じます。
■民法第398条 根抵当権
1、抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2、前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
3、特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。
【宅建試験での出題例】
問:根抵当権は、根抵当権者が債務者に対して有する現在及び将来の債権を全て担保にするという内容で設定することが出来る。
答えは×です。
根抵当権は、あくまでも「一定の範囲」に属する不特定の債権を限度額の範囲内において担保するものであり、担保にできる債権が限定されていますので、現在及び将来の債権全てを担保にする事はできません。
権利関係の中で、根抵当権の出題率、重要度は共に高いとは言えません。
反対に、「抵当権」は複雑で出題率も高いので、根抵当権は軽く目を通しておく程度でも十分ですので、勉強の際は抵当権の学習に時間を使ったほうが良いでしょう。
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