宅建試験対策! 宅建業法
【広告等に関する規制】
広告等に関する規制からは、宅建試験の過去10年間で8回出題されています。
土地の造成や建物を立てるには、許可を得なければなりません。
もし広告を出したり契約をしたにもかかわらず、いざというときに開発や建築の許可が得られなかったら困ったことになってしまいますね。
そのためいつから広告をしてもいいのか、という開始時期が定められています。
では、広告等に関する規制について見ていきましょう。
もくじ
【広告や契約の制限】
一定規模以上の土地の造成には「開発許可」、建物を建築する際は「建築確認」が、それぞれ必要となります。
この開発許可および建築確認が得られなければ、広告をすることはできません。
例えば、三階建ての新築住宅の広告をしていましたが、建築許可が下りなかった(三階建ての住宅を建てることが認められなかった)場合、虚偽の広告をしたことになってしまうからです。
そのため、未完成の土地や建物の広告をするには、「開発許可・建築確認・その他必要な許可」を得た後でなければ広告はできません。
これを「広告開始時期の制限」といい、許可申請中などと表記してもダメなものはダメなのです。
加えて、開発許可・建築確認を受ける前は、広告だけでなく契約をすることも禁止されています。
これを「契約締結時期の制限」といいます。
※賃借の代理・媒介に関してはこの限りではありませんので、未完成物件でも契約は可能です。
逆に、開発許可や建築確認等が下りていれば、物件が予定どおり完成することはほぼ確実であり、契約者が被害を受ける可能性が低いため広告をすることができます。
なお、造成不要の土地や、完成物件に関しては許可や確認が必要ありませんので、広告開始時期の制限を受けません。
[許可・確認等が下りる前の広告・契約 早見表]
|
売買 |
交換 |
賃借 |
広告 |
✕ |
✕ |
✕ |
契約 |
✕ |
✕ |
〇 |
【誇大広告の禁止】
広告で嘘をつく「虚偽広告」や、「誇大広告」は禁止されています。
実在しない物件で客引き目的の広告を出す事も虚偽広告として禁止されています。
もし、この虚偽広告によって被害者が出なかった場合でも宅建業法違反となり、監督処分や罰則を受けます。
【取引態様の明示義務】
取引様態とは、「売主」なのか、「媒介・代理」なのか、ということです。さらに売買・交換・賃借のうちどれなのかを、顧客に対して明らかにしなければなりません。
媒介や代理であれば、宅建業者は手数料を請求しますが、売主から直接買うのであれば手数料はかかりません。
そこで、宅建業者は「広告をするとき」と「注文を受けたとき」に「そのつど取引様態を明示すること」とされています。
注文を受けたときの明示は「口頭でも可能」で、取引士でなくても明示できます。
※広告のときに明示していても、注文を受けたときは地帯なく、取引態様の明示をしなければなりません。方法については規定がないので口頭でもOKです。
また、取引様態明示義務に違反した場合、指示処分・業務停止処分といった監督処分の対象となりますが、罰則は定められていません。
【断定的な判断の禁止】
「この土地はあと5年以内に必ず値上がりします」などと言い、宅地や建物の将来どうなるかわからない環境やその他利便性について誤解を招く断定的判断を提供することは禁止されています。
これを「断定的判断の提供の禁止」といい、実際に契約していなくてもそれらの発言、行為自体が違反行為となり、過失でも免責されません。
【不当な履行遅延の禁止】
契約したら直ちに実行しなさい、ということです。
宅地・建物の登記の移転、引渡し、代金の支払いを「不当に」遅延することは許されません。
※正当な理由がある場合はこの限りではありません。
例:買主の債務不履行(代金を支払わない)があるなら、売主に引渡しの義務は無いのです。
【宅建試験での出題例】
問:Aが販売する意思のない物件について行った「販売する」旨の広告は、著しく事実に相違する広告に該当し、このためAは監督処分の対象になるが、罰則の適用を受けることはない。
答えは×です。
監督処分の対象になっても罰則がないのは「 取引態様の明示義務」に違反した場合で、虚偽広告は被害者が出なかった場合でも宅建業法違反となり、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金です。
よくある引っかけ問題ですので、惑わされないように注意しましょう。
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