【詐欺・脅迫】
詐欺・強迫の概要について見てみましょう。
詐欺はおそらく大体の人が想像する詐欺のイメージで問題ありません。
例) AさんがBさんに騙されて土地付きの家を売却した。
この場合を民法に照らし合わせてAさんとBさんの取引を「取り消し」することができるかどうか。
宅建試験では、よく「無効」と「取消し」の違いをきちんと理解できているか、ということが問われます。
「取消しをすることができる」=「取消すまでは有効」となります。
では次に、強迫によって契約を結んだ場合はどうでしょうか。
民法によると、強迫による契約は「常に取消し可能」です。
では詐欺と強迫の違いはなんでしょうか?
どちらの場合も“不当な意思表示”をさせられていますね。
(これを瑕疵ある意思表示といいます)
ここで重要なのは「善意の第三者に対抗できるかどうか」です。
詐欺・強迫と言えばどんなイメージでしょうか?
これはわたしの主観なのですが、詐欺の場合って、ツーブロックの髪型をした営業マンがニコニコしながら言葉巧みに騙してくるイメージがありませんか?
強迫の場合は、恐モテのお兄さんが強い口調で脅してくるイメージがありますね。
ここで言いたいのは、詐欺は気をつけていれば回避できた可能性があるけれど、強迫は自分がどう頑張っても回避できない、ということです。
上記のようなことから、次のような違いが生まれます。
・詐欺による取り消しは善意の第三者に対抗できないが、悪意の第三者には対抗できると考えられている。
(表意者に落ち度がある可能性があるため)
・強迫の取り消しは常に有効。善意の第三者にも対抗できます。
(なぜなら表意者に落ち度がないからです)
■民法第96条 詐欺
1、詐欺又は強迫による意思表示は、取消すことができる。
2、相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取消すことができる。
3、前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。■判例、最判昭和33・7・1
強迫の結果、完全に意思の自由を失った者の意思表示は当然無効であり、本条の適用の余地はないのであって、本条の強迫による意思表示が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない。
以上が詐欺・強迫の概要となります。
【詐欺・強迫を勉強する際のポイント】
詐欺と強迫の違いである「第三者に対して取消しを主張できるかどうか」をまずはきちんと押さえましょう。
宅建試験で間違えやすい箇所です。
以下は過去問などでよく問われる箇所です。
・AとB(詐欺師)が詐欺による契約を行った後にBがC(善意)と契約した時、AはBに対して取消しを申し立てることができるかどうか、という点。
答え:できます。
とりあえず詐欺師に取消しを要求することは「できる」という風に覚えておきましょう。
次に詐欺・強迫の分野から出題されるときのポイントです。
問題形式としては、問題文に「Aが、詐欺または強迫で契約を結んだ場合に、取消すことができる条件はどれか」みたいなことを選ばせる問題がよくあります。
もしくは問題文には契約をしたことのみが書かれており、選択肢の中から詐欺・強迫の要件を満たしていた場合に取消しできるかどうか、というものを選ばせる問題。
単にこの肢の中で取消しができる条件は? という形式で選択肢の1つとして置いてある問題。などがあります。
きちんと詐欺・強迫の概念を理解できていれば間違えるような選択肢は無いでしょう。
もし過去問で間違えたときはすぐにテキストに戻ってきちんと記憶の定着を心がけていきましょう。
【詐欺・強迫の問題文を読む上でのコツ】
問題文に詐欺と書かれていたら、「これは取消しできるものなのかどうか」を意識して読みましょう。
また選択肢の中に、詐欺なので「無効」もしくは強迫なので「無効」などといった「無効」がまぎれる場合があります。これには気をつけてください。
詐欺や強迫は「取消し」できるのだということを頭に置いておけば、うっかりミスはなくなるでしょう。
そこを意識して過去問をこなしていれば、確実にクリアできる分野だと思います。
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