宅建試験対策! 法令上の制限
【建築基準法の構造】
建築基準法とは、「建築物の敷地、構造、設備、用途に関する最低限の基準を定めた法律」です。
建築基準法の規定は「単体規定」と「集団規定」に分かれており、単体規定は建物の安全面・衛生面に関する規定で、日本全国の建物に適用されます。
集団規定は原則として「都市計画区域内や準都市計画区域内でのみ適用」されます。
宅建試験の法令上の制限の分野でもよく出題されるので、ここは要点を押さえて暗記するしかありません。
もちろん、すべてを暗記する必要はありませんが、過去問などでよく出ているところだけでも覚えておくと効果的です。
もくじ
【主な単体規定】
そもそも建築物は、安全かつ快適なものでなければなりません。
単体規定は、この建築物の安全性や快適性などの技術的な基準を定めたものです。
建築物の安全な構造の確保
1:大規模な建築物については、一定の基準に従った構造計算によって安全性が確かなものとしなければなりません。
①高さ60m超の建築物
②高さ60m以下の建築物のうち、
・木造で、高さ13m超、軒の高さ9m超のいずれかを満たす建築物
・鉄骨造で、地階を除く階数4以上の建築物、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で、高さ20m超の建築物
・その他これらに準ずる一定の建築物
③高さ60m以下の建築物のうち、②の建築物を除き、
・木造で、階数3以上、延べ面積500㎡超のいずれかを満たす建築物
・木造以外で、階数2以上、延べ面積200㎡超のいずれかを満たす建築物
・主要構造部の一定部分を石造、れんが造、コンクリートブロック造等の構造とした建築物で、高さ13m超、軒の高さ9m超のいずれかを満たす建築物
2:木造建築物等で、延べ面積3000㎡超、高さ13m超、軒の高さ9m超のいずれかを満たす建築物は、原則としてその主要構造部を耐火構造などの構造としなければなりません。
3:延べ面積が1000㎡超の建築物は、耐火建築物、準耐火建築物などを除き、原則として防火上有効な構造の防火壁によって有効に区画し、かつ各区画の床面積の合計をそれぞれ1000㎡以内としなければなりません。
4;住宅の居室、学校の教室、病院の病室などで地階(地下室)に設けるものは、壁・床の防湿の措置など衛生上必要な技術的基準に適合するものとしなければなりません。
5:居室には、原則として、採光および換気のための窓その他の開口部を一定以上の大きさで設けなければなりません。
(この場合の開口部は日照を受けることができるものである必要はありません)
建築物の敷地
建築物の敷地については、以下の要件を満たさなければなりません。
・建築物の敷地には、雨水や汚水を排出・処理するための下水管、下水溝等を設けなけれならない
・原則として、敷地が接する道の境より高くなければならない
・建築物の地盤面は、原則として、接する周囲の土地より高くなければならない
・湿潤な土地や出水のおそれの多い土地、ごみなどで埋め立てられた土地に建築物を建てる場合は、地盤の改良などの衛生上または安全上必要な措置を講じなければならない
・建築物が、がけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合には、擁壁を設置するなどして安全上適当な措置を講じなければならない
建築設備
・高さ20mを超える建物には避雷装置を設けなければならない
・高さ31mを超える建物には非常用の昇降機を設けなければならない
・居室の天井の高さは2.1m以上
・屋上広場や2階以上の階にあるバルコニーの周囲には、高さ1.1m以上の手すり壁、さく、金網等を設ける
・アスベスト(石綿)は使用禁止、ホルムアルデヒド、クロルピリホスも使用が制限されます。
【集団規定】
集団規定とは、①用途規制、②道路規制、③建ぺい率・容積率、④高さに制限を加える規制、⑤その他の規制、という5つの規制で成り立っています。
このページでは、用途規制についてまとめています。
用途規制
建築基準法の用途規制とは、用途地域内にある土地に「どのような建物が建てられるのか」について具体的な規制を加えたものをいいます。
・都市計画法→用途地域=土地利用の計画
・建築基準法→用途規制=計画にあわせた建築規制
用途地域は住居系、商業系、工業系からなる全12種類に分類されますが、その全ての名称を覚えようとしなくても大丈夫です。
(用途地域についてはこちらのページで解説)
※ようするに、それぞれの用途地域に建ててもいい建物なのかどうかを判断できるかどうかが重要なのです。
宅建試験出題例:神社は第一種低層住居専用地域にも建築することが出来る。
(住居系の用途地域に神社を建ててもいいかどうかってことね、と判断できればOK!)
答えは○で、神社、寺院、教会等の「宗教施設」は、「すべての用途地域」で建築することができます。
このように出題されやすい項目を以下にまとめていきます。
「すべての用途地域」で建築可能なもの
・社会福祉施設(保育所等)
・医療衛生施設(診療所、公衆浴場等)
・宗教施設(神社、教会等)
・近隣公共施設(派出所、公衆電話等)
「工業専用地域以外」であれば建築可能なもの
・住宅、共同住宅(アパート、マンション)、寄宿舎、下宿等
・住宅に付属するもの
(住宅に付属するものとは、床面積が50㎡以内の日用品の販売を主たる目的とする店舗、食堂、喫茶店、事務所などで、住宅部分が延べ面積の2分の1以上あるものをいいます。いわゆる店舗兼住宅などのことです)
・図書館、博物館、老人ホーム、身体障害者福祉ホーム等
「工業地域・工業専用地域以外」であれば建築可能なもの
・幼稚園、小、中、高等学校
(※大学や専門学校は、第一・第二低層住専、工業・工業専用地域以外)
小・中・高等学校は、住宅の近くにあるほうが好ましいため第一種・第二種低層住居専用地域にも建築可能ですが、大学や専門学校などは規模が大きくなりがちなので、低層住居専用地域では建築不可となっています。
この違いに気をつけてくださいね。
その他
・病院は第一・第二低層住専、工業・工業専用地域以外で建築可能
・2階以下、かつ150㎡以内の飲食店等は第一低層住専、工業専用地域以外で建築可能
・2階以下、かつ500㎡以内の飲食店等は第一・第二低層住専、工業専用地域以外で建築可能
・ホテル、旅館は第一・第二低層住専、中高層住専、工業・工業専用地域以外で建築可能
・カラオケボックスは第一・第二低層住専、中高層住専、第一種住居地域以外で建築可能
(※第二種住居地域は建築可能ですので、微妙な違いに気をつけてください。宅建試験のひっかけ問題でよく出ます)
・200㎡未満の映画館は、準住居、商業、近隣商業、準工業地域に建築可能
・200㎡以上の映画館は、商業、近隣商業、準工業地域に建築可能
・キャバクラ等の接待ありの飲食店は、商業・準工業地域にのみ建築可能
なお、規制にひっかかる建築物であっても、特定行政庁(市町村長・都道府県知事)の許可があれば建築できる、とされています。
【宅建試験での出題例】
問:病院は、工業地域、工業専用地域以外のすべての用途地域内において建築することができる。
答えは×です。
病院は、工業・工業専用地域、さらに第一・第二低層住専にも建てられません。
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宅建試験の内容は浅く広くのスタンスなので、出題範囲が広い傾向にあります。
けれど、宅建業法や権利関係などは例年、基本的な分野が多く出題されるため、しっかりと要点をしぼっておけば得点しやすい試験でもあります。
とくに出題数が一番多い宅建業法などは、暗記問題のようなものが多く出てきます。
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