宅建試験対策!「不動産鑑定評価基準」
不動産鑑定評価基準は、過去10年間で6回以上出題されています。
総論のさまざまな規定の中で、「鑑定評価の方式」がとくによく出てきていますのでしっかりとチェックしておきましょう。
不動産の価値は、地域のごとの相場で勝手に決まっているわけではありません。
だいたいの相場がわかったとしても、それはあくまでも相場であって具体的な不動産が客観的にはいくらになるのかは、なかなかわかりません。
そこで不動産の経済価値(価格)を、誰もが納得できるように理論的にきちんと明らかにすることが必要です。
不動産の経済価値を判定し、それを貨幣額(価格)で表示することを不動産鑑定評価といいます。
【不動産鑑定評価の流れ】
1:鑑定評価をする対象不動産を確定します。(物的確定)
※「地域の種別」と「土地の種別」があります。
地域の種別:例→宅地地域、農地地域等
土地の種別:例→宅地、林地、移行地等
2:どのような権利を評価するのかを確定します。(権利の確定)
※例:借地権、区分地上権等、どのような権利を評価するのかを決めます。
3:いつの価格を評価するのかを決めます。(価格時点、価格または賃料の種類等)
4:どのような地域・区画であるのかを分析します。(地域分析・個別分析)
5:どのような使用法に最も使用価値があるのかを鑑定します。(最有効使用の原則)
※試験ではこのように表現されます。
その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成される。
6:該当する案件に即、適切に鑑定評価方式を適用します。
※鑑定評価方式には原価法、取引事例比例法、収益還元法の3つがあり、「地域分析および個別分析により把握した対象不動産に関わる市場の特性等を適切に反映した複数の鑑定評価の手法を適用すべき」とされています。
【不動産の価格を形成する要因】
1:一般的要因
自然的要因、社会的要因、経済的要因、行政的要因の大きく4つに分けられます。
2:地域要因
一般的要因と合わせて、規模、構成の内容、機能等への各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因を指します。
3:個別的要因
不動産に個別性を生み、その価格を個別的に形成する要因を指します。
土地、建物等の区分に応じて分析します。
【価格の種類】
1:正常価格→市場に公表されている「普通の取引価格」です。
2:限定価格→借地権者による底地の併合、隣地不動産の併合のための売買等、「市場が相対的に限定される」場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価格を適正に表示する価格をいいます。
3:特定価格→民事再生法に基づき早期売却を前提とした価格を求める場合等、「正常価格の前提となる諸条件を満たさない」(依頼目的および条件により一般的な市場性を考慮することが適当でない)場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいいます。
4:特殊価格→宗教建築物について、「市場性を有しない」不動産(文化財等)について、その利用状況を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいいます。
【宅建試験での出題例】
1:不動産の価格を求める鑑定評価の手法は、不動産の再調達原価に着目する原価法、不動産の取引事例に着目する取引事例比較法および不動産から生み出される収益に着目する収益還元法に大別される。
答えは○です。
2:不動産の性格により一般的に取引の対象とならない不動産は依頼目的および条件により一般的な市場性を考慮することが適当でない不動産の経済価値を適正に表示した価格を限定価格という。
答えは×です。
限定価格ではなく、特定価格の記述です。
不動産鑑定評価基準には難しい表現が多く、何を問われているのかわかりにくいですが、過去問をみていくと使われている表現は同じ物が多いので、とにかく「文章に慣れる」ことが大切です。
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