宅建試験対策! 法令上の制限
ここでは、建ぺい率と容積率について解説していきます。
建物を建てる際には、敷地に対して建物が占める割合や、敷地面積に対する建物の大きさなどが規定されています。
宅建試験で出題されるだけでなく、実際の不動産取引業でも使用される用語ですので、しっかりと内容を理解しておきましょう。
もくじ
【建ぺい率】
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合を指します。
建物同士がひしめきあった住宅地になってしまうと、日当たりや風通しが悪くなるだけでなく、火災の延焼にもつながり危険な地域になりかねません。
敷地内に適度な空地を残すことで、日照、採光、通風の確保や延焼防止を図る目的から規制されています。
[建ぺい率=建築面積÷敷地面積]と覚えてください。
地域ごとの建ぺい率・覚えるポイント
・商業地域の建ぺい率の原則は10分の8と決まっているので、都市計画で決める必要はありません。
・特定行政庁が指定した区画であれば+10分の1緩和されます。
・防火地域で耐火建築物を建築する場合も、+10分の1緩和されます。
・建ぺい率の原則が10分の8となっている地域(商業地域など)が防火地域で、そこに「耐火建築物を建築」する際の建ぺい率は10分の10となり、建ぺい率の原則(10分の8)は適用されません。
・都市計画区域内および準都市計画区域内で用途地域の指定のない区域の建ぺい率は、特定行政庁が都市計画審議会の議を経て定めます。
(都市計画で定めるのではありません)
・建物の敷地が建ぺい率の制限の異なる地域にまたがっている場合には、按分(基準となる数量に比例して割り振ること)します。
【容積率】
容積率とは、建物の敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。
例:容積率150%の地域に100㎡の土地があれば、各階50㎡の3階建てが建てられます。
[容積率=延べ床面積÷敷地面積]と覚えてください。
容積率も、建築基準法で定められた数値から地域の事情に合わせて都市計画等で決定されます。
なぜ容積率の規制をするの?
住宅街に大きな建物が建ち並んで人口が集中すると、静かな生活環境は望めず、さらに上下水道の整備などが間に合わなくなってしまいます。蛇口をひねっても水が出ない、なんてことにもなりかねません。
また、狭い道路幅の地域に大きな建物がひしめきあうと、慢性的な交通渋滞が発生してしまいます。
そこで、その地域に応じてきちんと容積率を制限することで建物の大きさを調整し、地域の環境を良くして計画的な公共施設を整備していこうというのが目的です。
用途地域別の容積率・覚えるポイント
・都市計画区域および準都市計画区域内で、用途地域の指定のない区域の容積率は、特定行政庁が「都市計画審議会の議を経て定めます。
(都市計画で定めるのではありません)
・建物の敷地が、容積率の制限の異なる地域にわたる場合には、建ぺい率の場合と同様に按分します。
前面道路の幅員による容積率の制限
前面道路の幅がせまい(12m未満である)場合は、以下の計算式から容積率を算出します。
・前面道路の幅員による容積率の計算式
[道路の幅員×法定乗数=前面道路幅員による容積率]
法定乗数は、用途地域が住居系なら「0.4 (10分の4)」、非住居系なら「0.6 (10分の6)」となります。
例:前面道路の幅員が4m、用途地域が第一種住居地域(住居形)の場合
4m×0.4=1.6(=160%)
商業地域(非住居系)であれば、
4m×0.6=2.4(240%)
この数値と都市計画で指定された容積率を比較し、「小さいほう(厳しいほう)」の数値がその土地の容積率となります。
もし都市計画で容積率300%と指定されていた場合でも、住居系なら160%しか認められない、ということです。
角地のように複数の道路に接している場合には「広いほうの道路」を基準に算出します。
【宅建試験での出題例】
問:建築物の容積率の制限は、都市計画において定められた数値によるものと、建築物の前面道路の幅員に一定の数値を乗じて得た数値によるものがあるが、前面道路の幅員が12m未満である場合には、当設建築物の容積率は、都市計画において定められた容積率以下でなければならない。
答えは×です。
前面道路の幅員に一定の数値を乗じて算出した数値と比較し、小さいほうが上限となります。
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