宅建試験対策! 権利関係
【宅建試験でよく出る連帯保証について】
連帯保証とは、主たる債務者と「連帯」して債務を保証するための保証人(連帯保証人)を立て、同立の立場で債務を保証させる事を言います。
通常の保証人は、債務者と連帯せず、「あくまでも債務者本人が債務の返済を出来なかった場合」に、代わりに債務を返済する義務を負いますので、連帯保証人の方がハイリスクです。
具体的な違いを下記でご説明していきましょう。
もくじ
【通常の保証人と連帯保証人の違い】
1:「催告の抗弁権」が認められない
通常の保証人であれば、債権者が債務者本人を飛ばして保証人に直接「お金返して!」と請求してきた場合に、「債権の抗弁権」により「まずは債務者本人に言ってよ!」と主張できますが、連帯保証人にこの権利はありません。
債務者本人と「連帯」している(債務者と同じ扱いを受ける)のですから、連帯保証人に拒否権はないのです。
2:「検索の抗弁権」が認められない
もし、主たる債務者に弁済の資力があったとしても、債権者からの請求に対し、「先に主たる債務者の財産から取り立ててよ!」と主張することも認められません。
主たる債務者と連帯保証人は同立の立場にありますので、どちらに請求しても同じなのです。
3:「分別の利益」が認められない
主たる債務者が3000万円借りるために、3人の保証人を立てました。
「分別の利益」とは、通常の保証人であればこの3人は「各自1000万円まで」負担すればいいですよ、という「割り勘」が許されます。
けれど連帯保証人の場合は、「この3人が一人あたりいくら」、ではなく、3人それぞれが3000万円を保証しなければなりません。
ただし、連帯保証人にも「求償権」は認められますので、一括して3000万円払った連帯保証人の一人は、他の連帯保証人に「各自1000万円ずつ返してね」と請求する事が出来ます。
■民法452条 催告の抗弁
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続き開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りではない。■民法453条 検索の抗弁
債権者は前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。■民法454条 連帯保証の場合の特則
保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。
【主たる債務者に生じた事由は絶対効】
連帯保証人のだれか一人に生じた事由が、主たる債務者にも影響を及ぼすことを絶対効といい、影響を及ぼさない事由を「相対効」といいます。
反対に、主たる債務者と連帯保証主人は同立ですので、主たる債務者に生じた事由は全て「連帯保証人に影響を及ぼす絶対効」となる点に注意しましょう。
特に重要となる「絶対効」をまとめました。
1:履行
弁済した金額分、債務が減少します。
2:更改
連帯保証人が一度債務を消滅させ、新たに債務を負うと、主たる債務者の債務は消滅します。
3:請求
債権者から請求を受けた場合、それは同時に主たる債務者にも行われた事になる為、主たる債務者の時効も中断します。
4:相殺
相殺した金額分、債務が減少します。
5混同
連帯保証人が債権を単独で相続した場合、債務は消滅します。
【宅建試験での出題例】
問:Aの保証債務がBとの連帯保証である場合、債権者であるCがAに対して債務の履行を請求してきても、AはCに対し、まずBに請求するよう主張できる。
答えは×です。
連帯保証人に催告の抗弁権は認められません。
連帯保証におけるポイントは、「催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益」の3点が認められない事と、「絶対効」をしっかり理解する事です。
宅建士試験での出題率も高いので、しっかり頭に入れておきましょう。
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