宅建試験対策! 権利関係
【地役権とは】
Aさんの家とBさんの家の敷地は隣接していて、AさんはBさん宅の敷地を通らないと道路に出る事ができません。
この場合、Aさんは、Bさんの敷地の一部を通行のために利用させてもらわないと、生活する上で大変不便ですね。
上記の例のように、AさんがBさんの敷地の一部を利用しても良いとする権利を「地役権」といいます。
また、承役地と要役地は、必ず隣接していなければならないわけではないので注意してください。
ここで出てきた「承役地」と「要役地」とは何でしょうか?
【要役地と承役地】
この時、地役権として利用される側の土地(Bさんの土地)を「承役地」、地役権を設定する側のBさんを「地役権設定者」と言います。
また利用させてもらう側の土地(Aさんの土地)を「要役地」、地役権を設定してもらう側のAさんを「地役権者」と言います。
契約時の設定により定められた範囲内で権利を行使できます。
【地役権の性質とは】
1:付従性
地役権は、要役地の利便性を高める(便益)ために制定される権利ですので、要役地から分離して譲渡したり、別の権利の目的とすることはできません。
2:随伴性
要役地の所有権が移転したときや、他の権利の目的とされた場合には、設定行為に特別な定めがない限り地役権も移転します。
3:不可分性
地役権は、要役地の利便性を高めるための権なので、要役地や承役地が共有である場合に、そのうちの共有部分だけに地役権が発生したり、消滅したりすることはあまり考えられません。
例えばBさんが、Aさんに「ここは俺の土地だ! 通るな!」と、一方的にAさんの地役権を無視する事は許されない行為です。
そのため、要役地や承役地の共有者の一人が、その持分について要役地に存ずる地役権を消滅させることはできません。
■民法第280条
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る)に違反しないものでなければならない。■判例、最判平成10・12・18
通行地役権者が承役地の譲受人に対して登記なくして通行地役権を対抗できる場合には、通行地役権者は譲受人に対して地役権設定登記手続を請求することができる。■民法第283条 地役権の時効取得
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
【宅建試験での出題例】
問:Aの土地はBの土地と隣接していないので、Bの土地を承役地とする地役権は設定できない。
答えは×です。
要役地と承役地は必ず隣接していなければならない、という決まりはありません。
地役権に関する出題は近年非常に少なくなっているため、あまり重要視されない傾向にあります。
試験合格だけを最優先にするなら、捨ててもいい分野だと判断して他の分野の学習に専念することも一つの手段ですが、さらっとでいいので頭に入れておくことをオススメします。
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