宅建試験対策! 宅建業法
【その他の業務上の規制】
ここでは「広告に関する規制」以外の、その他業務上の規制について解説していきます。
とくに「業務に関する禁止事項」は宅建試験でよく出題されているので、しっかりと知識の定着をしていきましょう。
もくじ
【守秘義務】
宅建業者とその従業員には、「正当な理由なしに業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない」という守秘義務が課せられています。
宅建業者を廃業したり、退職により従業員でなくなった場合でも守秘義務があります。
ただし本人の承諾を得ている、裁判で証言を求められた、取引の相手方に真実を告げる必要がある、などといった場合は「正当な理由」に当てはまるので秘密を漏らす形になっても違反にはなりません。
【不当な遅延の禁止】
宅建業者は、その業務にかんしてなすべき宅地建物の登記・引渡し、または取引に係る対価の支払いを、不当に遅延する行為をしてはならない。
【強引な営業の禁止】
・宅建業者が相手方にしてはならない行為①
1:正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと
2:勧誘に先立って宅建業者の称号(または名称)、勧誘を行う者の氏名、契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げずに勧誘を行うこと
3:宅建業者の相手方等が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)を表示したにも関わらず、勧誘を継続すること
4:迷惑を覚えさせるような時間に電話し、または訪問すること
5:深夜または長時間の勧誘その他の私生活または業務の平穏を害するような方法によりその者6
あまり難しく考える必要はありません。「人として」アリか、ナシかが判断できれば大丈夫な問題です。
なお、手付を貸付けたり、その他信用の供与をして契約を誘引する行為も禁止されています。
【重要な事項の不告知・不実告知の禁止】
宅建業者は、取引の関係者に大きな不利益をもたらすおそれのある事項を故意に(わざと)相手方に告げなかったり、不実(うそ)のことを告げたりしてはなりません。
不告知・不実告知が禁止される事項は下記のとおりです。
①35条の重要事項の説明事項
②供託所等に関する説明事項
③37条書面の記載事項
④一定の事項のうち、宅建業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
上記の4つは必ず説明しなければなりません。
住宅の隠れた瑕疵をわざと告げないなど、あとから相手方にとって不利益になるような行為は禁止されています。
【不当な高額報酬要求の禁止】
宅建業者が売買の媒介をおこなった場合、依頼者の一方から受け取れる媒介報酬(仲介手数料)の限度額は以下のとおり定められています。
・売買価格400万円超→報酬の限度額「3%」+6万円
・売買価格200万円超~400万円以下→報酬の限度額「4%」+2万円
・売買価格200万円以下→報酬の限度額「5%」
賃借の媒介報酬限度額
・賃料の1ヶ月分が限度となります。
・居住用建物の場合、依頼者の一方から受け取る事が出来る報酬額は賃料の0.5ヶ月分が上限となりますが、「依頼者の承諾があれば1ヶ月分まで」もらうことができます。
・居住用建物以外の場合は、権利金の額を売買価格とみなして計算することもできます。
【手付貸与等の禁止】
宅建業者は、手付について信用の供与(手付金を業者が立て替えるなど)をすることにより、契約締結を誘引する行為をしてはなりません。
例えば、物件の下見に来ただけのお客さんに対して、その日のうちに契約をさせるために手付金の後払いを認めたり、立て替えたりするようなことは禁止されています。
また手付金を貸し付けたり、分割払いを認めることも、「信用の供与」にあたります。
【将来の利益に関する断定的判断の提供の禁止】
宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、利益を生ずることが確実であると誤解させるような断定的判断を提供する行為をしてはなりません。
【預かり金の返還を拒む事の禁止】
契約が成立しなかったり、手付放棄やクーリング・オフで契約が解除された場合、預かっていた金銭(申し込み金等)は速やかに返還しなければなりません。
・宅建業者が相手方にしてはならない行為②
1:宅建業者の相手方等が契約の申し込みの撤回を行うに際し、既に受領した預かり金を返還することを拒むこと
2:宅建業者の相手方等が手付金を放棄して契約の解除を行うに際し、正当な理由なく、当該契約の解除を拒み、または妨げること
【宅建試験での出題例】
問:以下例文は宅建業法に違反する。
例文:宅建業者Aは、宅建業者でないBとの媒介契約の締結にあたり不当に高額の報酬を要求したが、BC間の売買契約が成立した後に実際にAがBから受領した報酬額は、国土交通大臣が定めた報酬額の限度内であった。
答えは○です。
実際に受け取った金額ではなく「不当に高額の報酬を要求する」こと自体が宅建業法違反です。
「人として」考えれば何も難しいことはなく、すんなり理解できることが大半です。
報酬の限度額については、具体的な数字が出される場合も予想されますので、例えば売買価格1000万円の媒介報酬限度額は、1000万×0.03+6万円=36万円(400万円超なので、売買価格×「3%」+6万円)と算出できるように、媒介報酬の限度額を暗記しておくと安心です。
最近のコメント