宅建試験対策! 権利関係
【区分所有法】
区分所有法は集合住宅(主に分譲マンション)に関する法律で、不動産取引業務を行うにあたり必要な知識です。
宅建試験でも問われますので、しっかりと理解しておきましょう。
マンションは、一つの建物の中に複数の所有権が設定されており、101号室と102号室の所有権は別の物です。
このように複数の所有権が設定されている建物を「区分所有物」といい、それぞれの権利を「区分所有権」といいます。
区分所有権は普通の所有権とは異なるため「区分所有法」という特別な法律の定めがあります。
ちなみに、この区分所有法は分譲マンションにのみ適用されるもので、賃貸マンションには「借地借家法」が適用されることに注意しましょう。
もくじ
【マンション管理・規約】
マンションの一室の売買や賃貸契約の際に、必ず出されるのが「規約」です。
一つの建物の中に複数の人が住んでいますから、最低限の「ルール」を設けておく必要があります。
区分所有者全員でマンションを管理する団体(管理組合)を組織し、「集会」を開いて管理の方法などを話し合いによって決定していきます。
また、管理組合には、「管理者」をおくことができますが、以下2つの注意点があります。
①規約で別段の定めがない限り、管理者は集会で選任し、解任する。
②管理者は、区分所有者以外から選任してもよい。
【専有部分・共有部分】
専有部分とは、区分所有権の目的となる部分を指します。
例えば、101号室といったその住戸の購入者のみが使用する部分です。
それに対し、階段やエレベーター、共用通路等、マンションの居住者全員で共用するものを「共有部分」といいます。
共有部分にはエレベーターなど共有されることが当然となっている「法定共有部分」と、集会室や管理人室のように、管理規約によってみんなで使うと決められている「規約共有部分」があります。
規約共有部分は登記をしないと第三者に対抗できませんので注意しましょう。
また本来は共有部分であり、区分所有者全員が使える物であっても、駐車場のように規約で特定の者にのみ使用を認める「専用使用権」があります。
共有部分は原則として区分所有者全員の共有に属し、共有部分の「持分割合」は原則として、専有部分の「床面積の割合」によって算出します。
共有部分 |
内容 |
第三者への対抗 |
法定共有部分 |
階段、通路、エレベーターなど |
ー |
規約共有部分 |
集会場や管理人室など |
登記が必要 |
床面積の測定方法 |
|
戸建やマンション以外 |
壁の中心を基準に面積を測定 |
マンションの場合 |
壁の内側を基準に面積を測定 |
【管理組合の集会の招集】
管理組合は集会を開き、管理の方法やマンションの居住に伴うさまざまな問題について話し合っていく必要があり、そのための決まりが存在します。
①集会は原則として管理者が招集し、管理者は最低でも「毎年1回」は集会を招集しなければならない。
②集会の招集通知は、会日より少なくとも「1週間前」に会議の目的事項を示し、各区分所有者に発しなければならないが、この期間は規約で伸縮可能。
③建替え決議の場合には、会日より「2ヶ月前」に招集通知を発しなければならない。この期間を長くする事は可能だが、短くすることは不可。
④区分所有者全員の同意があれば招集手続きを省略することが出来る。
以上4つはしっかり覚えておきましょう。
【集会の決議】
集会は、あらかじめ通知した事項についてのみ決議することが原則です。
①決議の成立には「区分所有者の数と議決権」の双方の要件を満たす必要がある。
②集会での議決権は、「書面や代理人」によっても行使できる。
③占有者に議決権は無いが、集会に出席して意見を述べる事はできる。
以上3つがポイントになりますので、しっかり覚えておきましょう。
【各3/4以上の賛成が必要な特別決議事項】
特別決議・建替え決議以外の決議は「普通決議」となり、過半数以上の賛成数が決議要件となりますが、「特別決議」では各3/4以上、「建替え決議」では各4/5以上の賛成数が必要となります。
主な特別決議は
①規約の設定、変更、廃止
②共有部分の重大変更(これは規約で定めれば区分所有者の半数まで減らすことが可能)
③規約違反者に対する使用禁止、競売請求、占有者に対する引渡し請求
④大規模滅失の復旧
⑤管理組合法人の設立、解散
以上5つがポイントになります。
建替え決議においては各4/5以上の賛成が必要となります。
もし建替えが決議されると、建て替えに賛成した区分所有者は、反対する区分所有者に対し、区分所有権および敷地利用権を売り渡すよう請求することができます。
決議に必要な数 |
決議事項 |
規約で軽減 |
各4/5 |
・建替え |
× |
各3/4 |
・規約の設定・変更 |
× |
各3/4 |
・共有部分の大きな変更 |
○ |
過半数 |
・管理者の選任・解任 |
■区分所有法第1条 建物の区分所有
一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
【宅建試験での出題例】
共有部分であっても、規約で定めることにより、特定の区分所有者の所有とすることが出来る。
答えは○です。
現在は「マンション管理士」という資格があるので、宅建試験での区分所有法に関する出題率は減っていると言われています。
けれど、宅建士の実務にも大きく関わる重要な法律であることに変わりはありませんので、要点を押さえて理解しておくことが大切です。
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