宅建試験対策! 権利関係
【危険負担】
AさんはBさんから建物を購入する旨の契約をしました。
しかし、目的物引渡しの前に大きな地震や津波等の人為的にはどうしようもない(誰も加害者ではない)原因によって目的物が倒壊し、引き渡すことができない状態になってしまいました。
この場合は「買主Aさんと、売主Bさんのどちらが損失を負担するのか?」という問題が発生します。
これを「危険負担」と言います。
【負担を負うのは買主】
上の例でご説明すると、Aさんは建物を購入する契約をしましたが、肝心の目的物は倒壊しています。
しかし危険負担の規定で考えていくと、「原則的に買主が負担」しなければなりません。
そうなればAさん(買主)は、単なるお金の払い損になってしまい、とうてい納得がいきませんね。
とは言え、Bさん(売主)が悪いわけでもないので、AさんがBさんに対して損害賠償を請求する事が出来ないのです。
これは、あくまでも契約の際に何の約束事も設定しなかった場合の話です。
一般的には、危険負担に関する特約をつけており、「買主は代金の支払いを負担をしない」という旨の契約書になっている場合がほとんどです。
■民法第534条 債権者の危険負担
特定物に関する物件の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
【契約前に目的物が滅失していたら】
既に無い物に対して契約はできません。
「契約自体が無効」となります。
法律用語では、「原始的不能(債権が成立する前からその債務の履行が不可能なこと)」と言います。
【宅建試験での出題例】
問:契約成立前に甲建物がAB両者の責に帰すことが出来ない火災により滅失していた場合、甲建物の売買契約は有効に成立するが、Bの建物引渡し債務も、Aの代金支払い債務も共に消滅する。
答えは×です。
まず、契約成立前に建物が滅失していますから、契約自体が成立しません。
宅建試験での危険負担は、目的物の滅失が「契約成立前」なのか、「契約成立後」なのかを注意しましょう。
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