宅建試験対策! 宅建業法
【営業保証金とは】
宅建業をはじめるには、免許があるだけでは不十分です。
開業するためには以下の順番で4つの工程を経る必要があります。
①免許取得→②供託→③届出→④開業
免許を受けたら、「営業保証金」を供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ営業を行ってはならない、と規定されています。
この一連の流れは必ず覚えておきましょう。
そもそも、なぜ「営業保証金」という名目で開業前にお金を供託しなければならないのでしょうか。
不動産を扱う宅建業では取引される金額が高額であるため、万が一宅建業者と取引した相手が損害を被ったときのための担保として一定のお金を先に預けておく、といった仕組みになっているのです。
~供託(きょうたく)とは~
供託は、提供寄託(預ける)という意味で、法令の規定により、金銭、有価証券、その他の物件(供託物)を供託所(法務局や地方法務局など)その他の者に寄託することをいいます。
もくじ
【営業保証金の供託】
①供託する営業保証金は本店1000万円、支店1つにつき500万円
※現金以外に有価証券での供託も可能ですが、評価額が異なり、額面金額の一定割合しか評価されないものもあります。
②有価証券の評価額
・国債→額面金額(100%評価)
・地方債・政府保証債→額面金額の90%
・国土交通省令で定める有価証券→80%
例:供託金額が1500万円の宅建業者なら、現金で1500万円用意するか、国債1000万円、地方債500万円(評価額90%なので450万円相当)、現金50万円で供託することも可能です。
※いずれも株式や約束手形、小切手での供託は不可です。
③供託方法
供託は、主たる事務所の最寄りの供託所(法務局)に支店の分もまとめて行います。
新たに支店が増えた場合も、主たる事務所の最寄りの法務局に支店1つにつき500万円を供託します。
④供託をしなかったら
業者は免許を受けても供託をしない限り宅建業を営むことはできません。
そのため、供託しない宅建業者に免許を与えたままにしておく必要はないと判断され、「免許を受けた日から3ヶ月以内」に供託をした旨の届出がなければ、免許権者は届出をすべき旨の催告をしなければなりません。
この催告が業者に「到達した日から1ヶ月以内」に届出がなければ、免許を取り消すことができます。
※必ず取り消されるわけではありません。
【営業保証金の還付】
営業保証金から弁済(還付)を受けられるのは、「宅建業に関する取引の場合のみ」ですので、以下の場合は還付対象外となります。
・還付を受けられない債権の例
管理委託料、広告の印刷代金、内装工事代金、使用人の給料等
【営業保証金の不足額の供託】
営業保証金から還付した場合、供託してあった営業保証金が不足するので還付された分の金額を補充する必要があります。
営業保証金が不足した場合、「免許権者」から通知がきます。
その通知を受けた日から「2週間以内」に不足額を供託し、さらに供託した日から「2週間以内」に「供託しましたよ」と免許権者に届け出なければなりません。
【営業保証金の保管替え】
本店・本社が移転したら、供託所も新たな本店・本社の最寄りの供託所に変更する必要があります。
これを「営業保証金の保管替え」といいます。
1:全額金銭で供託している場合→現在供託している供託所に対し、新しい供託所に保管替えしてください、と「請求するだけ」です。
2:有価証券を含めて供託している場合→本社移動後、遅滞なく、法定の営業保証金を新たな本社の最寄りの供託所に「新たに供託する」ので、一時的に二重供託の状態になります。
その後、旧本社の最寄りの供託所に供託してあった営業保証金を取り戻します。
どちらの場合も、遅滞なく、供託書の写しを添付して免許権者に届け出ます。
【営業保証金の取り戻し】
宅建業者が廃業するときは、供託してあった営業保証金を返してもらうことができます。
これを「営業保証金の取り戻し」といいます。
ただし、債権(還付請求権)を持っている人は一定期間内(6ヶ月以上の期間が必要)に申し出てください、という公告をしなければならない、とされていますが例外もあります。
・公告が必要なもの
①宅建業者でなくなった(免許の更新忘れ、破産、廃業、解散、死亡、合併、免許取消処分)
②一部の事務所を廃止した(保証金の供託額が超過)
・公告なしにただちに取り戻せるもの
①主たる事務所を移転した(二重供託の為)
②保証協会に加入し、保証協会が弁済業務保証金を供託した
③営業保証金の取戻事由が発生してから10年が経過した
以上の「公告が必要なもの」と「公告なしでただちに取り戻せるもの」は、宅建試験でひっかからないようにしっかり整理して覚えておきましょう。
【宅建試験での出題例】
Aが、甲県知事から営業保証金の供託の届出をすべき旨の催告を受けたにも関わらず、その催告が到達した日から1ヶ月以内に届出をしない場合、Aは実際に供託をしていても免許取消処分を受けることがある。
答えは○です。
「届出」がなければ「供託」も認められません。
①免許取得→②供託→③届出→④開業
ここはかなり重要ですので、必ず覚えておきましょう。
上の例題のように、供託はしたけど届出をしていない、といった出題や、営業保証金をただちに取り戻せる場合、公告が必要な場合に関するひっかけ問題が予想されますので十分注意しましょう。
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