宅建試験対策! 権利関係
【手付金とは】
手付金は、不動産売買の現場で必ず登場します。
宅建試験でもよく出題されますので、しっかりと知識の定着を心がけておくと良いでしょう。
おおまかに説明すると、手付金とは売買契約時に支払われる「契約に必要なお金」だと覚えてください。
具体的には、売買契約締結の際にその保証として買主から売主に交付される金銭のことを言います。
「その不動産を買います」という約束のために、売主にお金を預けておく場合が多いです。
一般的な不動産取引の現場では、目的物の引き渡しと売買代金の支払いを行うときに、手付金をその一部に充当しています。
たいていは不動産の売買代金の1割ほどが手付金として売主に交付されています。
もくじ
【手付金の性質】
1:証約手付
契約の成立を証明する意味合いをこめて授受されます。
2:解約手付
契約の相手方が履行に着手するまで解除権を保留しますが、手付放棄または手付金倍返しによって解除できるとし、より契約を確実にするための保険のような意味合いで授受されます。
3:違約手付
債務不履行が生じた場合に、違約金とはまた別に没収できる罰金の意味合いで授受されます。
手付金の授受によってどちら側からも一方的に解約ができるのがポイントです。
また、損害賠償請求も出来ないとされています。
【宅建業法上の手付金の制限】
・未完成物件の場合
売買代金の5%以下かつ1000万円以下であること
・完成物件の場合
売買代金の10%以下かつ1000万円以下であること
たとえ当事者間の契約上で特約を設定した場合であっても、売主が宅建業者である場合には売買価格の2割を超える手付金の受領は法律で禁止されています。
【手付金の保全措置と、保全措置が不要の場合】
宅建業者は、手付金を受け取る前に、金融機関や保証会社等と保証契約を結び、万が一宅建業者が倒産した場合等に銀行が保証してくれる体制をとる必要があります。
これを「手付金の保全措置」といいます。
・保全措置が不要の場合
1:買主に「所有権移転登記」を行った場合
2:未完成物件で、売買代金の5%以下かつ1000万円以下であること
3:完成物件で、売買代金の10%以下かつ1000万円以下であること
上記3つの場合には保全措置は不要ですので、しっかり覚えておきましょう。
【保全措置の種類】
1:銀行等の金融機関による保証
銀行が宅建業者を連帯保証する旨の「保証委託契約」を締結し、保証証書を買主に交付します。
未完成物件、完成物件共に保証契約対象となります。
2:保険会社との保証契約
保険会社と宅建業者との間で「保証保険契約」を締結し、保険証書を買主に交付します。
未完成物件、完成物件共に保証契約対象となります。
3:指定保管機関(保証協会等)による保証
指定保管機関が、買主のために手付金を保管してくれる契約です。
未完成物件の場合、これを利用する事はできません。
完成物件の場合のみ、保証契約対象となります。
■民法第557条 手付金
買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
【宅建試験での出題例】
問:買主Bが、売主であるA社(宅建業者)に手付金を支払い、更に中間金を支払った場合、Bは、A社が契約の履行に着手しない場合であっても、支払った手付金を放棄して契約の解除をする事が出来ない。
答えは×です。
「中間金を支払った」という言葉に惑わされなければ容易に回答できるでしょう。
手付金に関する出題率は割と高めですので、宅建業法上の手付金の制限と、保全措置が不要の場合はしっかり覚えておきましょう。
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