宅建試験対策! 権利関係
【物件変動】
所有権は物権、代金の請求は債権、といったように、民法では財産に対する権利を2つに分けています。
「物に対する権利」=「物権」
「特定の相手に対して特定の行為を要求する権利」=「債権」
物権が新たに設定されたり、移転したりすることを「物権変動」と言います。
不動産の物権変動の場合は、原則として「登記をしなければ第三者に対抗できない」とされています。
ここは出題率が高いので、必ず覚えておきましょう。
【二重譲渡】
Aさんが、自己所有の甲土地の売買契約を12月1日にBさんと、12月3日にCさんと結んだとしましょう。
契約(約束)をするのは自由ですから、この2つの契約はどちらも成立します。
けれど、土地は一つしかありません。
この場合、先に契約をしたからといってBさんの物になるわけではありません。
「先に登記をした物」が所有者になります。
また登記に善意、悪意は関係ありませんので、単純に「早いもの勝ち」となります。
でも、そうなれば登記をし遅れたほうは納得がいきませんね。
もしCさんの方が早く登記を済ませ、甲土地がCさんのものになった場合、BさんはAさんに対し債務不履行だ(契約したんだから今更売れないなんて通用しませんよ!)として損害賠償を請求する事ができます。
登記がなければ対抗できない第三者として、以下4つを暗記しておくといいでしょう。
1:取り消し後の第三
2:時効完成後の第三者
3:解除前後の第三者
4:賃借人
【登記なしで対抗できる場合もある】
Aさんの土地にBさんが勝手に家を建てた場合、Bさんは無権利者です。
この場合は、AさんはBさんに対し、登記なしでも「出て行け!」と言う事ができます。
このように登記が自分名義になっていなくても、「自分の不動産だ」と権利を主張できる場合があります。
以下4つは、登記なしで対抗できる第三者として暗記しておくといいでしょう。
1:無権利者、不法占拠者、不法行為者
2:背信的悪意者
3:相続人
4:前の前の所有者
■民法第176条 物件の設定及び移転
物件の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。■民法第177条 不動産に関する物件の変動の対抗要件
不動産に関する物件の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
【宅建試験での出題例】
問:Aは、自己所有の建物をBに売却したが、Bはまだ所有権登記を行っていない。
Aはこの建物をCから買い受け、CからAに対する所有権移転登記がまだ行われていない場合、BはCに対しこの建物の所有権を対抗出来る。
答えは○です。
CからA、AからBへと売買された建物の話だ、と読み解くことができなければ回答は難しくなります。過去問を利用して、問題の言い回しに慣れておくといいでしょう。
Bから見たCは第三者ではなく、前の前の所有者なので対抗関係は成立しません。
よって登記なしで権利を主張できます。
物権変動は原則として、登記しなければ第三者に対抗できませんが、登記がないと対抗できない第三者の4パターン、登記なしで対抗できる第三者の4パターンはかなり高確率で出題される傾向にありますので、しっかり頭に入れておきましょう。
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