【制限行為能力者】
宅建試験の権利関係の勉強で最初に出会う大きなポイントが「制限行為能力者」です。
不動産取引だけに限らず、日曜品の購入など、物品や金銭の取引をするときには行為能力というものが必要になります。
すべての取引には「義務」や「責任」が付きまといますが、何らかの原因で判断能力が欠けている人にそういったものを求めるのは難しいことも多いでしょう。
そのため「取消権等」を与えて保護をする制度が「制限行為能力者制度」です。
宅建資格の取得後にも重要になってくる知識ですので、ぜひこの機会に攻略しておきましょう。
勉強するうえでのポイントは、制限行為能力者の4類型をしっかり区別して記憶することです。
この区別があいまいだと問題が解けなくなってしまいます。
文章だけで区別をしにくいときには、表を利用してみると違いを覚えやすくなります。
テキストの表でも良いですが、自分なりに理解しやすいように表にして手元に置いておくと、より効率的に記憶しやすくなるでしょう。
未成年者 |
20歳未満の者 婚姻をした者は成年者とみなす |
成年被後見人 |
重度の認知症の者 家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者 |
被保佐人 |
認知症だが、成年被後見人よりも症状が軽い者 家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた者 |
被補助人 |
被保佐人よりも症状が軽い者。 |
・宅建試験で主に問われるのは取引の制限や、取消権、追認についてです
「誰が取消や追認をするのか」という事にも着目してまとめていくようにしましょう。
もちろん制限行為能力者本人も取消しなどができますが、「親権者」や「後見人」といった人たちも取消せることがあります。
また、同意があれば行為ができるのか、同意があっても無効になるのか、という点についてもきちんと押さえておくことが必要です。
例年1問は出題されることが多いので、基本的な制限についてはしっかり押さえておきましょう。
とくに未成年者と成年被後見人の制限については出題が多めですので、きちんと区別できるようにしておくと得点につながります。
また、問題文を読むときには「誰についての記述なのか」、ということをしっかり押さえておくようにしましょう。
成年後見人と成年被後見人の区別もきちんと理解しておかなければなりません。一文字しか違わないので、誤って読んでしまうこともあります。
わたしも勉強しはじめのころは、どっちがどうなのかすぐには区別がつきませんでした……。
「被」の部分にマーキングするなど、間違わない工夫を考えてみてくださいね。
未成年者 |
契約を取消すことができるのは、法定代理人と本人 |
成年被後見人 |
取消すことができるのは、法定代理人と本人 (ただし、日常生活に関する行為については取消すことができない。日用品の購入など) |
被保佐人 |
多くの日常的な行為は単独で行えるが、重要な財産に関する行為については「保佐人(法定代理人)」の同意が必要 |
被補助人 |
制限行為能力者の中では、単独でできる行為が一番多い |
【第三者への対抗力】
この第三者への対抗力に関しても、ときどき本試験で問われることがあります。これについてはまだ覚えやすいほうなので、しっかりと理解しておきましょう。
制限行為能力者を理由として契約を取消した場合、善意の第三者に対しても取消を対抗することができます。
制限行為能力者のほうが優先して保護されるようになっています。
ただし、詐術を用いて(行為能力者であるとウソをついて)行った契約は取消すことができません。
ウソをつくような人まで保護する必要はないからです。
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