出題数が多い権利関係
宅建試験は4つの分野に分かれていますが、その中で宅建業法に次いで問題数が多い分野が「権利関係」です。
毎年、50問中14問ほどの問題が権利関係から出題されています。そのため宅建試験の合格のためには、絶対に落とすわけにはいかない分野と言えるでしょう。
知識を定着させるしっかりとした勉強が欠かせません。
権利関係は分野の幅が広いので勉強するのも大変だと思われがちですが、実は宅建試験の中で一番楽しんで勉強できる分野はこの権利関係だと思います。
また日常生活の中で役にたつ分野というのもこの権利関係と言えるでしょう。
不動産業者とは全く関係が無いのに宅建試験を受ける主婦の方や学生さんが多いのはそのためです。
民法は身近な存在
ではなぜ、権利関係が最も楽しんで勉強できるのでしょうか。
権利関係の分野の勉強は、「民法」の中から出題されるからです。
宅建試験には、宅建業法や建築基準法など、さまざまな法律から問題が出されていますが、その中でも民法は私たちに最も身近な法律と言えます。
借金をしてしまった場合の問題や遺産相続の問題など、私たちの身近に起こりうる、あるいは起こっている問題が出題されます。
ですから自分の身に起こったらどうなるか、ということを想像しながら楽しんで学習していくといいでしょう。
たとえば遺産相続の問題ではこんな問題があります。
「自分の父親が『愛人に遺産を全部相続させる』という遺書を書いて亡くなった場合、奥さんと子供(嫡出子)はその愛人から遺産を取り返せるのかどうか」といった問題です。
ちなみにこの問題の場合は、奥さんと子供には「遺留分を相続する権利」というものがあるので、愛人側にその権利を行使することで遺産の一部を相続することができます。
しかし、この場合だと全部は相続できず、あくまでも一部だけが取り返せます。
この場合の相続の注意点としては、自動的に奥さんと子供に遺産が入るというわけではなく、奥さんと子供が愛人に対してこの権利を行使しなければなりません。なにもしなければ当然遺産は愛人のものになります。
ちなみに愛人側が奥さんと子供に遺産を取り返されたくなければ、遺留分を取り返す権利を奥さんと子供に放棄してもらうという方法があります。
このような問題が権利関係の分野にはたくさんあります。ですからもし自分の父親が遺産を残して死んだら、とか、もし自分が借金をしたら、という風に考えてみると民法をより身近に感じながら学習することができるでしょう。
登場人物を図に起こす
権利関係の問題を解くときのポイントは、必ず図を描いて解くようにするということです。
先ほどの例題は奥さんと子供と父親と愛人の4人しか登場人物はいませんでしたが、祖父母や従兄弟などもっと登場人物が多い場合もあります。さらに、より権利関係が複雑な場合もあるでしょう。
権利関係の問題は図で表せるものが多いので、複雑でない場合もそうでない場合も関係なく図に表すようにしましょう。
簡単な図を書くことで長い問題文も頭の中で整理して解くことができるようになります。
そういったことを意識して、過去問題集を買うときには解答解説のところでわかりやすい図を使って解説しているものを選ぶといいでしょう。
また、この「図を描く」というテクニックは宅建業法でも使える問題があります。
そして図を描くときには自分なりの方法で工夫して描くと、さらに有用性が高まります。
最初は過去問の解答の図を写していても良いと思いますが、それだけだと自分にあわなくて描くのに時間がかかるということもあります。
過去問を何度か図を描きながら解くうちに、自分なりのルールを決めて省略できるところは上手く省略しながら描くようにするといいでしょう。
権利関係の問題には専門的な法律用語も多く登場します。
いきなり過去問を読んでも「民法に触れたことがない」という方は意味がわからないと思いますので、まずはテキストから始めましょう。
テキストを選ぶ際にも、絵や図を使って分かりやすく解説されているものを選ぶと頭に入るのが早く、効率的に学習できます。
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